諸国日々新聞集



諸国日々新聞紙 N001

諸国日々新聞集 二百五十二号

不明 28×19.5

		
"元千日の地内に生人形の見世
物場を開(ひら)き亥一月一日初日
より大入火繁昌恰(あたか)も甘(あま)きニ
つく蟻(あり)の如く臭(くさ)きニ集る蝿(はい)の
如し其人形ハ大江山酒
てん
童子(どうじ)の
話(はなし)を次第し
或ハ百物語(かたり)四き
遊び等を模せり
貌色客体(すがた)実に
生るが如く活動する
有声(こへ)を発(はつし)る汗(あせ)をな
がせり細工人ハ広嶋住
人中谷豊吉也かかる妙工の
世に出るハうどむ屋の花かつを
浮方(ふぎへ)の亀の甲に浦島が七世の孫(まご)にあふ
よりも逢(あひ)がたかるべし実に前代未聞の大当り
別して二日子の日五日初卯両日ハ五千余
人の見物にて二銭の木戸銭一日に百円余
を得たりと浪花の繁昌之(これ)を知べし
夕すずミしまだ始のかたびらハ長州ちぢミか
さつまかすりか 柳桜記 "		

諸国日々新聞紙 N002

諸国日々新聞集 二百五十四号

不明 28×19.5

		
"塩町一丁目に
母と娘の二人住させる稼もあらざれば細(ほそ)き煙を立
かねる憂(うれい)の中に母ハ又病(やまひ)の床にまつ[解読不可]
娘一人のいかんともせんかたなきより又外■■
川竹に沈(しづ)めなバ母の薬用心の侭とすす
むる人も有(ある)なれど娘に■■■■■せん■
亡父へたいして云分(いいわけ)なくさりとて外(ほか)に
しあんなけれバ食用(しよくよう)にも朝夕(あさゆう)にことを
かくてハ詮(せん)なきと戌十二月二十七日夜
病苦(べうく)をしのび三休橋の
辺(ほと)りニて憐(あわれ)むべし身(ミ)を
川中へ投(とう)し死セり
娘ハははの見(ミ)へぬに驚(おどろ)きそこよここよとさがしもとめ
入水と聞(きい)てあるにもあられず我身(わがミ)女のかいなくて母養(ははのやしな)ひ心にき
かせぬのミならず非命(ひめい)に殺(ころ)せし事(こと)皆(ミな)の我身の罪(つミ)なりとてともに
入水(じゆすい)と三休橋より飛入(とびいり)しに折(をり)ふし通(すぐ)る小舟の上におちくれバ舟頭(せんどう)
権兵ヱ厚(あつ)くかいほうして命ハつつがなりける
 柳桜記 "		

諸国日々新聞紙 N003

諸国日々新聞集 二百七十四号

不明 28.5×19.5

		
"南堀江下通三丁目
清水栄蔵の支配地
裏長屋有井戸端
凡六七十日間を経たる男女分た
さる左りの腕臂(うでひぢ)より
切たる有(あり)隣家(きんじよ)
より水を汲(くミ)に
来て之を見て大ニ
驚(おどろ)き伍長ニ告伍
長之を官へ訴(うつたへ)たりと
真に奇怪(きくわい)の事にあらずや
東京新聞ニ小児の
腕を犬のくハへ来りし
話あり是埋葬(まいそう)の
疎なるより犬の堀
出せしなるべし若
費エを厭(きら)ハバ自ら
其労を勤(つとめ)て可也
因て此事を記して
不信の者を戒ト有
柳桜記 "		

諸国日々新聞紙 N004

諸国日々新聞集 二百七十六号

不明 28×19.5

		
"飾磨県(しのまけん)下中村に住る田村亀吉ハ
はたごやを業(ゲふ)とするに明治七
戌十二月十五日士族(しぞく)二名此家ニ
止宿(ししゆく)す又商人一人隣(となり)の
間に止宿せり若干(そこばく)の
金を主に預(あづ)け安心
して臥(ふ)せり夜半ニ及び
しきりと胸(むな)さハぎしけれバ隣の
士族(しぞく)にねがわくバ君の傍(かたハら)にふさ
しめたまへと云(いい)けれバ情(なさけ)ある者にて
薬(くすり)を与(あた)へふさしめけり亀吉の
息ハ隣家にあそびて夜ふけて
返(かへ)り商人の寝床(ねどこ)
是幸ひとふし
たりける父ハ
かくともしらは
の短刀(たんとう)持てしのび来り我子らハつゆしらず
喉(のど)を只(ただ)一刀にさし通(とほ)し片手(かたて)に陰嚢(きんたま)を
つよくしめけれバ声もあげで
ししてげり士族ハ此音にやうすを
立聞(たちきき)よく朝(てう)亀吉を縛(ばく)して
其区の会議所へ送らるる
 柳桜記 "		

諸国日々新聞紙 N005

諸国日々新聞集 二百七十八号

不明 28.5×19.5

		
"靱(うつぼ) 辺(へん) 某(なにがし)の妻(つま)でつち一人連(つれ)て住吉(すミよし)へ詣(まう)でんと
時をたがへて夜(よ)ふけず賊(ぞく)
きたりて女をはごうとする
でつちおそれてはたけ中に
ひそむ女悲泣(ひきう)すれども
外(ほか)に人なし女なれバはだか
にてハいづくへも行(ゆき)がたくじ
ひをたれて下帯(したおび)だけ恵(めぐ)ミ
玉へこれハ直内(ねうち)かあると
引すてし車の
ほろう与(あた)へるゆへ
女是を得て去ル
処へ又一人ぞく来る
今女をはぎてほろう
あたへし事を云ほろうにハ二十円を
ぬい込(こミ)置(おき)たり衣(い)るいを奪(うハ)ふも金を失(うし)なハじ
そん有(あり)婦人を追(おい)とめんと二人ぞくハはしり行(ゆく)あとに
でつちハ車の内の衣(い)ふくをつかつかと小わきにかい込ミ
飛(とぶ)が如くニ家(いへ)ニ皈(かへ)り主(しゆう)のつつがなきをよろこび
両賊(ぞく)の云し事をいへバかのほろうを見(み)るにはたして二十円の金札あり夜(よ)の明(あけ)るを
まちて訴(うつた)へけれバでつちの計(はから)ひ神妙
なりとて賊金ハでつちに賜(たま)わりける
頃(ころ)ハ戌ノ二月五日也トゾ
    柳桜記 "		

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