大阪錦絵新聞



大阪錦絵新聞 N001

大阪錦絵新聞 第三十二号

不明 26×18

		
"新町南通二丁目木原の店を仮(か)りて稼(かせぎ)をなせる
小桜といへる娼妓(まんた)ハ艶容(かおかたち) 名(な)の如(ごと)くしほらしく
亦(また)心の強気(たけき)ハ壮(ますら)男も及(およ)バず奴(やつこ)の小万も
肌足(はだし)で逃(にげ)出し巴板額(ともへはんがく)今あらバ
降参(こうさん)なすへし爰(ここ)に画(ゑがけ)ける人力
車の一件(いつけん)ハ新町中に評判(ひやうはん)高く
風説(うハさ)紛々(ふんふん)何(いづ)れを是(これ)なりと
記者(さくしや)も判(はん)せず其(その)実説(じつせつ)を
正(ただ)さんとならバ一遊楼(ゆうろう)に登上(とうしやう)
あつて其(その)本(ほん)人に聴聞(ちようもん)あれかし
千代の匂の
誠をかたれ
初さくら
四ツ橋西北ノ情郎
猩々堂九化記"		

大阪錦絵新聞 N002

大阪錦画新聞 第三十四号

不明 28×20

		
"明治八年第二月和泉国堺の浜にて或る異人(いじん)
猟鉋(りようほう)を携(たづ)へ小鳥を獲(い)んとかなたこなた
の森木末(もりこすへ)をさぐりしに一ツの小鳥をねらひ寄(よ)
り火蓋(ぶた)を切て放(はな)せしに思ふ図(ず)はづれ人の子を
うち誤(あやま)りし大騒(さわ)ぎと
なり焼野(やけの)の雉子(きぎす)ひな
鳥を失(うしな)ふ親ハ
うば玉の闇(やミ)と嘆 (なげき[ママ])きが
明(あか)るう
なつて異人へ罰金数百円
申付られたり"		

大阪錦絵新聞 N003

大阪錦絵新聞 第三十七号

不明 25×18.5

		
"去(すぎ)る年西京に。たぐひ稀(まれ)なる悪人と。噂(うハさ)の高き
一件(ひとくだり)。下京第二十二区。八阪(やさか)庚申堂(かうしんどう)の
東にて。浅井柳塘(りうとう)といふ画師(えかき)十一月より
他国(たこく)へ出(で)仕業(しごと)に。行(ゆき)し跡(あと)にハ母(はは)と子(こ)と。
妻(つま)と雇人(やとい)に留主(るす)居(い)させ。歳(とし)の暮(くれ)にも
なりしかバ。入費(ものいり)あらんと出先(でさき)なる伊予(いよ)の
国より儲(もふ)け金(かね)。届(とど)けしを見てやとい
人(ど)の信一がフト悪心(あくしん)の。刃(やいば)にかかるあハれ
さよ。老母(ろうぼ)の咽喉(のど)を刺(さ)しぬいて。内室(ないぎ)ハ
袈娑(けさ)切(ぎ)りをさな子(ご)ハ。柱(はしら)に縛(しば)り手足(てあし)を切り。また
其上に金子(かね)をとり。主人の家に火(ひ)を附て。逐電(ちくでん)な
せしハ十二月。二十日(はつか)の夜(よ)るの道(ミち)も法(ほう)も。
わきまへなきとてあまりある。天罰(てんばつ)いかで
のがるべく。美濃の国にてめしとられ。死罪(しざい)に
なりし信一ハ。生国(うまれハ)飛騨の高山なりしとぞ
笹木芳瀧記
並ニ画"		

大阪錦絵新聞 N004

大阪錦絵新聞 第三十八号

不明 24.5×18

		
"去歳(こぞ)の三月十九日。第四大区十二小区。曽根崎橋より出火の
時。堂島裏通二丁目。永井吉松といへる躄(いざり)の宅(うち)に。奇留(きりう)
せし亀市といへる盲人(めくら)あり。両人(ふたり)ハ近火に驚(をどろ)きて。
にげんと思(おも)へど躄(いざり)とめくら。狼狽(うろたへ)さハけどてだてなく。
亀吉思慮(しりよう)をめぐらして。貴公(をまへ)ハ見(ミ)へても歩行(あるか)れず
僕(わたし)ハ走(はし)れど行先(ゆくさき)見(ミ)へず。此侭(このまま)居(いた)ら焼死(やけし)なん。
我等(われら)ハ貴公(おまへ)を負(お)ふ程(ほど)に。貴公ハ背(せ)なからさしずして
人(ひと)をはろふて行(ゆく)べしと。割木(わりき)を持(も)たし負(お)ふた子(こ)に。浅(あさ)
瀬(せ)にあらで深(ふか)き智(ち)ハ。三人集(よつ)て思案(しあん)した。文珠(もんぢゆ)の
知恵(ちゑ)より二人(ふた)りより。一人りに成(なつ)てあやふきを。のがれしハ
また智なるかな
笹木芳瀧述"		

大阪錦絵新聞 N005

大阪錦絵新聞 第三十九号

不明 25×17.5

		
"第四大区十五小区堂島浜通四丁目一番地に
住居する豊田喜右ヱ門の弟(おとと)岩井与市と
いふもの当年三十四歳にして兄の扣家に
別宅なし居りしか去る日より発狂症(きがのぼせ)の体(てい)
なりけれバ兄の家へ引とりいろいろ療用に
手(て)を尽(つく)しけれバ次第に全快(ぜんくハ)のていなり
けれバ又もとの扣家にかへしいとこの
おはるといふものを介抱として付けおきしに三月九日
午後六時ごろに与市ハおはるを他(よそ)に遣しかミそり
にてはら切しがおはるハ何こころなく帰(かへ)り来りて
与市を見れバ赤(ち)に染て臥(ふし)いたりしゆへおはるハ
大いに驚(おどろ)き早速おもやへ知らせしに皆々
かけつけ直に医師を招き療用加へし
に仕合と本腹なせしとぞ右与市
なるものハ全く気がのぼせたるより
かかる思義となりしとぞ
芳瀧筆"		

大阪錦絵新聞 N006

大阪錦絵新聞 第四十号

不明 25×18

		
"文明のとくたるや四才や五才の幼童(おさなご)が書を読(よミ)文字かき和歌(うた)を詠(よ)ミ
説教なして老人によく理をさとすも有ノ又生れながらにして怪力(くハいりき)の奇童など
諸新聞紙上に見へたりここに又第三大区十二小区新町南通り一丁目の
客舎大林長治郎の男徳太郎ハ五年四ヶ月なりしが諸経一切を
となふる事妙なり法華経大般若其外諸宗の経文も老人にも
勝(まさる)となへぶり又鳴ものも上手にて日毎題目をこたりなくとなへるとは
南無妙なるかな又奇なるかな
芳瀧筆"		

大阪錦絵新聞 N007

大阪錦絵新聞 第四十六号

不明 24.5×18

		
"阿州名東県十五等出仕吉本信治いふ人の家に。傭(やと)ひ女の
おつねといふ者ハ。主人の留守(るす)の戸(と)堅(かた)くろしく。寝(ね)もやらぬ夜に
押入し。一人りの賊(ぞく)ハ研(と)ぎすます。出刃と眼玉をひからして。
金子出せだせに驚(おどろ)くおつね。わたしハ此家の傭人ゆへ。金子の
有所ハしらねども。着類ハ爰(ここ)にと箪笥(たんす)から。出して渡せど
心でハ。旦那の留守に一ト品でも。紛失(ふんしつ)なさバいいわけなしと。
心もたけき女ゆへ。そつとしら刃をかくし持。とハしら浪の
白痴(しれもの)が。衣類を背負(せをい)出行を。思ひ
しれよと切り付しが。賊もすかさず
出刃振り上。しばしか程ハ戦(たたか)へど。
女の腕(うで)のかい
なさに。すでに
切ふせられんと
せしが。近所の人が
聞(きき)つけて。かけ付来たる
有様に。賊ハ品物捨置て。逃
去りしゆへ一ト品も。とられざりしハ
此おつねが。心がけよき所とて
県庁(おかミ)さまより賞典(ごほうび)を。いただきしこそ手柄なりとぞ"		

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