各種新聞図解



各種新聞図解 N001

各種新聞図解第一 郵便報知新聞 第五百号

不明 34×23

		
"文運隆盛(ぶんうんりうせい)の秋(あき)を欣慕(よろこん)で。学事(がくじ)に勉励(べんれい)
する者(もの)ハ。伏見北大組(ふしみきたあしぐみ)第一の区相生町(あいおいちやう)に住(すめ)る
某(なにがし)とて。衆庶(しうしよ)を諭(さと)して開化(かいか)の域(いき)に勧(すす)む事と
雖(いへど)も。猶(なほ) 齢(よハい) 長(ちやう) して小童(こども)と共(とも)に学(まな)ぶを恥(はじ)或(あるい)ハ
丁稚(でつち)と成(なつ)て奉仕(ほうし)に暇(いとま)なく。徒(いたづら)に歳月(さいげつ)を過(すぐ)
して文盲(あきめくら)となる者(もの)許多(あまた)を歎(たん)ずる折(をり)しも。
適(たまたま) 夜学校(やがくこう) 開業(かいぎやう) の府令(ふれい)を聞(き)き。欣然(きんぜん)として
花麗(はなやか)に出立(いでた)ち。街頭(まちなか)に彳(たち)て柝木(ひやうしぎ)を打鳴し
つつ宣言(いいふらす)やう。東西東西(とうざいとうざい)。今度(こんど)相生町の龍(りう)
徳寺(とくじ)に於(おゐ)て。夜学(やがく)を開(ひら)きます。此学校ハ
終日(ひる)銭儲(ぜにもふけ)をする人(ひと)や。奉公(ほうこう)する者(もの)の稽古(けいこ)する所なれバ学費(いりよう)ハ成丈(なるたけ)易イ易イ(やすいやすい)。夕六
時(じ)よりドンまで。何君(どなた)も早(はや)くおいで早(はや)く
来(き)たら早(はや)う賢(かしこ)くなる。不来者(たねもの)ハ。ヘケヘケ
チヨンチヨン。と触歩行(ふれあるく)さま異風(ゐふう)にて。夫子(ふうし)
を以(もつ)て木鐸(ぼくたく)とする。翻案(つくりかえ)ともいふ
べき乎(か)
転々堂鈍々記"		

各種新聞図解 N002

各種新聞図解第三 郵便報知新聞第三四七号

明治7年(1874)11月 35.5×24.5

		
"波布蛇(はふじや)ハ螫蛇(さすへび)の一種(いつしゆ)にして。大島(おおしま)及(をよ)び琉球(りうきう)に
産(さん)する毒虫(どくちう)なり。腹(はら)白(しろ)く鱗(こけ)蒼(あを)き斑(ふ)ありて。形(かたち)
雪花の如(ごと)し。頭(かしら) 大(おおい)にして口(くち)の広(ひろ)さ殆(ほとん)ど頭(かしら)を過(すぎ)て
身(ミ)に及ぶ。然(しか)して人(ひと)を害(がい)す事甚(はなハだ)しく。或ハ道路(ミち)
の傍(かたへ)に蔽匿(かくれ)て尾(を)を草根(くさのね)に維(つな)ぎ。或ハ半身(はんしん)を
枝葉(えだは)に垂(たれ)て頭(かしら)を衝(う)ち足(あし)を噛(か)む。一点(いつてん)の牙毒(げどく)
人身(じんしん)に触(ふる)れバ全体(ぜんたい)の血(ち)液(にえ)沸騰(たち)て。肉色直地(にくしよくただち)
に変(へん)じて暴死(ぼうし)する者(もの)。大島の如(ごと)きハ一歳中(いつさいちう)
十を以て算(さん)すと。更(さら)に怪(あや)しむべきハ。彼(かれ)一度(いちど)人(ひと)
を噛(かめ)バ必(かならず) 自(ミづから) 其尾(そのを)を噛(か)む。斯(か)くするを数度(すど)に
及(およ)べバ。其長身(ちやうしん)も終(つい)に端縮(ちぢミ)て。縦横(じうわう)自在(じざい)に飛(ひ)
行(ぎやう)す。疾(とき)を風(かぜ)の如(ごと)くなるをもて風蛇(ふうじや)といふとぞ。
明治六年一月より県官(けんくわん) 令(れい)して波布蛇(はふじや)
一頭(いつとう)を打(うち) 殺(ころす) 者(もの)ハ賞(しやう)するに玄米(げんまい)一升
を以(もつ)てす。六年一歳中(いつさいちう)賞(しよう)賜(し)する
所(ところ)の米数(べいすう)八十石に至(いた)れり。是(これ) 則(すなハち)
八千頭(とう)。然(しか)れども末(いま)だ。其(その) 百分(ひやくぶん)の
一(いつ)を尽(つく)さずぞいへり。
転々堂鈍々記"		

各種新聞図解 N003

各種新聞図解第五 教会新聞 第三号

明治7年(1874)11月 37×24.5

		
"教法(おしへのミち)の数種(かず)ある中(なか)に。正真(まこと)の道(ミち)を遵奉(まもる)
こそ誠実(まこと)の人(ひと)といふべしと。双親(おや)の訓(おしへ)を
一条(ひとすぢ)に固守(まもり)て直(すぐ)な椙(すぎ)の樹(き)に因(ちなミ)もある欺(か)
三輪(ミわ)とよぶ。女(むすめ)ハ陸前(りくぜん)仙台(せんだい)なる。士族(しぞく)日下(ひのした)
某(なにがし)の愛子(いとしご)にして村内(むらうち)に。美色(びしよく)の聞(きこ)へ高禄家(たかもち)
等(ら)が仲人(なかふと)を容(も)て娶(めとら)んと望(のぞ)める者(もの)も大代村(おおしろむら)に
粟(あハ)野(の) 某(なにがし)とかいへる人(ひと)に嫁(か)さんと約定(やくそく) 整(ととの)ひ。既(すで)
に婚儀(こんぎ)の日(ひ)に及(およ)び。粟野(あハの)ハ異教(ゐけう)を信奉(しんぽう)する者(もの)
なる由(よし)を聞(きき)知(し)りて。俄(にわか)に破約(はやく)を乞(こふ)ものから。媒酌人(なかふど)
大ひに困却(こんきやく)し。今宵(こよひ)の儀式(ぎしき)を済(すま)さんと。
透(すか)しつ威(おど)しつ勧(すす)むれども。おみわが志操(しそう)
確乎(かくこ)として。死(し)を以(も)て辞(じ)するに是非(ぜひ)もなく。
断然(ぷつつり)切(きれ)し縁(里ん)の糸(いと)赤(あか)き心(こころ)の顕(あらハ)れしは。杉(すぎ)の
下枝(したえ)に止(とま)りたる。三輪(ミわ)の神代(かミよ)の昔語(はなし)をも。常(つね)に
尊(たふと)ミ聴(きき)たるゆえなり。
 転々堂鈍々記"		

各種新聞図解 N004

各種新聞図解第六 遠近新聞 第二七号

明治7年(1874)11月 37×25

		
"
常盤木(ときわぎ)の若葉(わかば)と散(ちら)す東台(とうたい)の嵐(あらし)に交(まじ)る。
弾丸(たま)の雨(あめ)。烈(はげ)しき崖(がけ)の木陰(こかげ)に寄(よ)り官軍(よせて)の
群(なか)へうち下す。十二斥(おおづつ)砲を曳(ひ)く車坂(くるまかざか)に。
防戦(ぼうせん)の術(じゆつ) 尽果(つきはて)て。討死(うちじに)したる丈夫(ますらを)ハ。本(ほん)
所(しよ) 辺(あたり)の旗本(はたもと)の。其(その)奥方(おくがた)の唯(ただ)一人(ひとり)。従者(とも)をも
供(つれ)ず焼失跡(やけあと)に。彼処(かしこ)よ這方(ここ)よと斃(たおれ)たる。
尸(かばね)を漸(やうや)く索得(たづねゑ)て。巡邏(じゆんら)の護兵(ごへい)が前(まへ)に
来(きた)り。此(こ)ハ吾(わが)妻(つま)にて侍(はんべ)るが。方向(ミち)を誤(あやま)ち脱(だつ)
走(そう)して。一昨日(おとつひ)討死(うちじに)したるなり。此(この)死骸(しがい)を玉(たま)
ハりて埋葬(ほうむり)たしと云(いい)ながら。我(わが) 着(ちやく)したる重衣(かさね)を
脱(ぬ)ぎ。夫(おつと)の死骸(しがい)の上にかけ。涙(なミだ)に咽(むせ)び歎(たん)ずるに
ぞ。官兵(くわんぺい) 大(おおい)に憐(あはれ)めども。官(おおやけ)の沙汰(さた)あらざる
うち。此(この) 尸(かばね)のミ私(わたくし)に引取(ひきとる)ことハ許(ゆる)し難(がた)し。他日(たじつ)の
所置(しよち)を俟(また)れなバ。是(これ)より報知(ほうち)すべしとて。
住所(ぢうしよ)を問(と)ひ。別(わか)れし後(のち)に下谷(したや)なる。広(くわう)
徳寺(とくじ)中(ぢう)に葬(ほうむり)しハ。貞烈(ていれつ) 全(まつた)き婦人(ふじん)と
いふべし。
東台戦死の篇者
転々堂鈍々記 "		

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