かなよみ



かなよみ N001

かなよみ

不明 36.5×74

		
"新聞(しんぶん)第(たい)八百九十九号久留(くる)島家(しまけ)
騒動(さうどう)の顛末(てんまつ)
時(とき)に明治(めいぢ)十二年(ねん)二月二十三日午後(ごご)十一
時過(じすぎ)芝通(しばどほ)り新町(しんまち)十四番地(ばんち)華族(くわぞく)従(し)五
位(い)久留島通靖君(くるしまつうせいくん)が平民(へいミん)吉浜文之助(よしはまぶんのすけ)
の為(ため)に横死(わうし)を遂(とげ)られたるハ諸説紛々(しよせつふんぷん)
として其実(そのじつ)を得難(えがた)し然(しか)れども近隣(きんりん)
の風聞(ふうぶん)によれバ此(その)文之助(ぶんのすけ)ハ同君(どうくん)が兼(かね)
て愛(あい)せられし者(もの)にて父(ちち)武助(ふすけ)なる者(もの)ハ既(すで)
に同地(どうち)の差配(さはい)を勤(つと)め文之助(ぶんのすけ)ハ生頗(せいすこぶ)る
実直(じつちよく)にして能(よく)通靖君(つうせいくん)の為(ため)に仕(つか)ふる
忠(ちう)を以(もつ)てす然(しか)るに先年(せんねん) 雇入(やといい)られたる
妾(せふ)冬本(ふゆもと)お豊(とよ)ハ其出所(そのしゆつしよ)も賎(いや)しく其始(そのはじ)
め鶴賀(つるが)の一諷(いちふう)に辛(から)くも三筋(ミすじ)の糸(いと)に世(よ)
を営(いと)ミしが一夕(いつせき)通靖君(つうせいくん)におもはれ
終(つい)に妾(せふ)となり枕席(ちんせき)を共(とも)にして毒舌妻(どくぜつさい)
君(くん)の怨(えん)を訴(うつた)へ同衾(どうきん)の期(き)を待(まち)て家令(かれい)か
私(わたくし)を讒(ざん)し之(これ)が為(ため)に一家親睦(いつかしんぼく)せず幾程(いくほど)
もなく妻君(さいくん)ハ離縁(りえん)となり家従(かじう) 尽(ことごと)く廃(はい)せら
る後台(のちだい)義明(よしあき)を家扶(かふ)とし内外の家政(かせい)おとよ
か威権(ゐけん)に帰(き)す彼(かの)文之助(ぶんのすけ)これを深(ふか)く憂(うれ)ひ
終(つい)に此(この)挙動(きよどう)に至(いた)り通靖君(つうせいくん)おとよ義明(よしあき)を殺(せつ)
害(かい)し車夫(しやふ)新吉(しんきち)其他(そのた)に傷(きず)を負(おハ)せ自(ミづか)ら銃死(じうし)す
嗚呼(ああ)聖坂(せいはん)の高(たか)さも一朝(いつてう)毒婦(どくふ)が鴬舌(あうせつ)に迷(まよ)ハ
され竹芝浦(たけしバうら)に風立(かぜたチ)て終(つひ)に血蹟(ちのあと)を新聞紙(しんぶんし)
上(じやう)に止(とど)むといふ 久保田彦作記"		

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